日商PC検定とMOSの違い

実践的な日商PC検定・機能重視のMOS

日商PC検定とMOSを比較すると、「日商PC検定が実践的」「MOSが機能重視」と言えます。

WordやExcelの機能を知っていれば合格できるMOS

MOSの試験は実技試験のみです。画面に完成間近の文書や資料が表示され、あとは問題の指示どおりに2・3個ほど修正を加えます。このような問題を20問前後繰り返す形になっています。

MOSの特徴としては、WordやExcelの機能に関する問題しか出題されないため、WordやExcelのスキルだけがあれば合格できることです。しかし、その反面で普段は使用しないような機能まで覚える必要があります。

最低限の機能で文書作成やデータ集計を行う日商PC検定

日商PC検定の実技科目は、1つの文書を創り上げる形の問題になっています。まず、試験は指定されたファイルを開くところから始まります。そこから問題で指定されたとおりに文書を編集し、最終的にひとつの文書の完成させます。

文書作成3級で使用する機能は「文章入力、フォント、中央揃え、箇条書き、表」など一般的に使用されるものが多いので、MOSよりも簡単です。その一方で、ビジネス文書のフォーマット(ひな型)や、文章表現に関する知識が求められます。

たとえば、文書作成の場合は、文書全体で日付の形式を整えたり、文書の管理番号を適切な位置に入れたりなどの操作や、文章中の誤字を修正したり、適切な時候の挨拶を入力したりなどの問題が登場します。データ活用の場合は、粗利益・構成比率・目標達成率などのビジネスに関する計算式を覚えなくてはなりません。

MOSと日商PC検定の比較

MOSは、文書やデータ分析に関する知識は不要ですが、あまり使わないと思われる機能まで扱えるスキルが求められます。ただ、いくらWordやExcelの機能を知っていたとしても、自分の力で文書作成やデータ分析ができるかというと、そんなことはありません。実際にMOSの資格を持っていても、WordやExcelをビジネスで使いこなせない人はたくさんいらっしゃいます。

一方の日商PC検定は、身に付ける機能こそ最低限ですが、自分で文書作成したりデータ修正したりするスキルが求められます。つまり、日商PC検定に合格すれば、自分自信の力でひとつのモノを創り上げる能力が身に付き、それを証明できるというわけです。

最近の求人広告を見ると「Word・Excelができる人」と書かれているのを目にします。よく、【どこまでの機能を使用できれば「できる!」と言えるの?】という質問を見かけますが、それは会社によりけりです。そもそも、私は機能のことを指しているのではないと思います。 「WordやExcelができる人」というのは、自分の力で文書や資料が作成できる方のことではないでしょうか。この点を踏まえると、日商PC検定は非常に実践的で、就職後にも役立つスキルを習得できると言えると思っています。

日商PC検定とMOSのどちらを取得するべきか

日商PC検定とMOSは両方取得するのが一番確実であることは言うまでもありませんが、そこまでする必要もないでしょう。さて、「日商PC検定とMOSのどちらを取得すれば良いか」というお話ですが、これは目的によって異なります。

就職・転職目的ならどちらでもOK

就職してから役立つのは日商PC検定だと思いますが、就職や転職そのものが目標となると、どちらでも大きな違いはありません。

こう言ってしまうと失礼ですが、就職や転職においてMOSや日商PC検定が重要視されることはほとんどないと考えられます。単にWordやExcelがある程度できることを証明したいのであれば、どちらでも問題ありません。

なお、日商PC検定の場合は3級ではなく、2級を受験した方が良いと思います。「3級」というと簿記3級・英検3級・漢検3級と相まって非常に簡単そうに聞こえます(実際に簡単です)。ですから、就職・転職を意識するなら2級を目指したいところです。一方のMOSは難易度的には日商PC検定の3級寄りですが、「3級」という名前がついていないため、簡単というイメージが付きにくいと考えられます。

スキルアップ目的なら断然日商PC検定

日商PC検定はビジネスで活用するスキルや知識の取得を想定しているだけあり、実践に即した内容になっています。特に、各試験の2級は、それぞれ自分の力で1から文書作成したり、データ集計したりする力がないと合格できないレベルなので、ちょうど良い指針になると思います。

仕事でExcelを使う機会が多い私個人としては、データ活用2級が最も実践的であると感じました。各種関数、集計、利益率や構成比率などの計算、グラフ作成など、すべての段階で自分で適切なものを選択することから行いますので、Excelのスキルだけでなく、データ作成のための判断力も問われます。自分だけの力でファイルを作成するには、このような力が欠かせないですよね。これがMOSに足りない点であり、日商PC検定の差別化された点でもあると思います。


 
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